九州大学農学部生物資源環境学科 生物資源生産科学コース 生物生産環境工学分野
九州大学大学院生物資源環境科学府 環境農学専攻 生産環境科学教育コース
九州大学大学院農学研究院 環境農学部門 生産環境科学講座
Bioproduction Environmental Sciences Division  Agro-environmental Sciences Department
Faculty of Agriculture, Kyushu University

灌漑利水学研究室

Irrigation and Water Management Laboratory

What's new

    2024.11. 1: 中村遥が令和6年度農業農村工学会九州沖縄支部大会でポスター賞を受賞しました(「研究業績」のページを更新しました).   
  2024. 9.26: 3年生が配属されました.「スタッフ・学生」のページを更新しました.  
  2024. 9.10: 中村遥,木原昂が農業農村工学会ミニ動画コンテスト「こりゃ映像!2024」優秀賞を受賞しました(「研究業績」のページを更新しました).
  2024. 4.19: 「スタッフ・学生」「学位論文」「研究業績」のページを更新しました.
  2024. 4. 1: 岩田幸良 教授が着任されました.

灌漑利水学とは?

 「灌漑」は,農作物の生育に最適な土壌水分状態をコントロールするために行われ,大きく「水田灌漑」と「畑地灌漑」に分けられます.「水田灌漑」では,栽培時期や年による気象条件(特に降雨)によって用水需給が変化するため,それに対応して適切に用水を供給することが求められます. 特に水田は取水量が大きいため,水田地域での水管理は流域全体の水循環にも影響します.「畑地灌漑」では,灌漑水量は水田灌漑ほど多くはありませんが,過剰な給水は減収(湿害)を引き起こします. 特に,近年では農地の汎用化(水田だった農地を畑としても利用できる・謔、にすること)が進められており,もともと排水がよくない水田を畑として利用する際,排水性の確保が大きな課題となっています. このように農業において灌漑と排水は表裏一体である.本研究室では,水田作,畑作に適した圃場の水分状態を確保するために必要な知見,技術を「灌漑」「圃場排水」の両面から研究しています.
 また,農業はその周辺に存在する集落,気象,河川,生物などの諸環境にも大きな影響を及ぼします.特に農業で利用される「水資源量」や生産される「バイオマス量」は膨大であり, 現在ならびに将来の環境を考える上で,これらを効率的かつ有効に利用することが重要な視点です. 本研究室では,農業に関係する大量の水資源とバイオマスを有効に活用する方策を提案するため,「水利用」「バイオマス」についても研究を実施しています.

研究内容

地中熱ヒートポンプの高度利用の検討(岩田)

 農村に眠る未利用資源の一つである地中熱を活用することで、農業において最もエネルギーを使う温室の暖房コストや二酸化炭素の排出量を削減することが期待されています。しかし、地中熱ヒートポンプを導入する際の熱交換器の埋設費用が高く、普及が進んでいないのが現状です。この課題を解決するために、埋設を容易にする装置や方法を検討し、初期導入コストを削減することを目指しています。また、地中熱ヒートポンプで冷房することによる作物の増収や品質向上効果を検証し,初期コストを回収する効果が得られないかを検討しています.

農家以外による農地や水環境の保全活動の推進(谷口)

 これまで,農業農村地域の水環境は特に水田農家が中心となって維持・管理されてきました.しかし,最近では水田の収益性が低下したことで,低平地域では畑地化が進み,中山間地域では耕作放棄地が増加しています.この結果,水田面積が減少し,農業農村地域の水環境にも大きな変化が生じています.今後,地域によっては,水環境保全に関わる取り組みを製品の価値に付加できる( 「ここにしかない商品」を生み出せる) 農業以外の事業者が,今後の水管理者になるのではないかと考えています.そこで,農業以外の事業者が水環境保全に取り組む際の課題を明らかにし,農業収益性を高める現在の農業政策との共存の方向を探っています.また,水環境保全の取り組みに対する一般市民の認識を評価し,そのブランド価値を評価することに取り組んでいます.

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